ネットの効用

前にも少し触れたが、ネット、特にブログを中心としたサービス利用が進むにつれて、市民の国語力は自然と向上するものと思う。今まで本を出版社から出版するまでは知識も意気込みもなかった人間(私も含めて)が、気軽に「それなりの」ものを手軽に無料で発信できる世の中になっているからだ。かつて、これほど多くの市井の人が文字を記したことがあるだろうか。これが、アドワーズなどで経済的にもインセンティブをもってくると、個人の情報発信は益々進むであろう。このことは一つ前に紹介した本に書いてあることだが、私は体感的にそれがわかる。

そういった中、何でも問題にして仕事を作り出すことが得意な霞ヶ関とメディアを中心とした旧来エスタブリッシュメントの面々は、殊更「デジタルデバイド」だの「格差社会」だのと騒ぎ立てているが、私はすごく違和感を覚える。

人脈、資金、特定の業界に所属していることといったこれまでの格差の方がどれだけ不透明で乗り越えがたかったものか。それに比べれば、パソコンを買い、プロバイダに加入し、サイトを開設しさえすれば、ある程度のことはできてしまう世の中の到来を、もっと手放しで喜んだっていいじゃないか。そもそも、これからは会社でパソコンをやってた人が老年層を構成していくようになる。彼らは以前の老年層よりは順応性が遥かに高いだろうし、少なくともパソコンや携帯へのアレルギーは少ないはずだ。

彼らがもてあました時間を利用して、ネットの世界でどういったものを創造してくるか、既存サービスをどのように使いこなしてくるか、今から楽しみでしかたないし、人生にやる気のあるそういった人たちを手伝う仕事を増やしていくつもりだ。